立ち回り言語化入門
はじめに
「立ち回りの言語化、そのメリット」から続く記事です。
自分が考える言語化のやり方を3つに分け、簡単にまとめました。
全くの初心者向けに1つ目の解説を、2つ目以降で大きな2つの視点を記しました。
言語化事始め
動きを言葉にするのは、実は簡単です。まずはタイプ分けから入ります。3つのステップで体感してみましょう。
Step1 - 2種のタイプ分け
「攻めがち / 守りがち」あなたはどちらのタイプでしょうか。これを考える事から言語化を始めてみましょう。
自分の立ち回りを何となく思い浮かべ、攻めと守りのどちらに傾いているかを想像したはずです。2種のタイプ分けは、次に述べる「マクロ視点」の礎です。
自分の動きを動画で見返したり思い出したりして、振り返ることが言語化のベースとなります。
Step2 - タイプ分けの具体化
次は自分の長所と短所を、大まかに考えてみましょう。ひとまず場面をニュートラル・コンボ・崖の3つに区切って捉えてみます。
長所について、突出した一つを考える場合
- どちらも技を食らっていない状態から、相手の技を食らいにくく、自分の技を通すことが多いならニュートラルの差し合いがあなたの長所です
- 技を引っ掛けるまでは別にして、一旦コンボ始動を当てればしっかり火力を出せるなら、爆発的な%稼ぎがあなたの長所です
- 一旦相手に崖を掴ませたらそこで倒し切ることが多かったり、復帰阻止での撃墜が多かったりするなら崖周りの堅さがあなたの長所です
一方短所について、自分の特に弱いところを考える場合
- なかなか自分の攻撃を通せずに相手にいいようにやられてしまうことが多いなら、ニュートラルの差し合いが苦手なのかもしれません
- 相手に触る場面はそこそこ多くても%を稼げずに火力差で負けることが多いなら、基礎的なコンボ火力が出せていないかもしれません
- 一旦崖を掴まされたらなかなかステージ上に上がれない、または崖外に出されたら復帰できずに簡単にやられてしまうなら、崖周りが弱いのかもしれません
ここまでの場合分けに必要な自分の立ち回りを理解することで、言語化の基礎を築くことができます
Step3 - どうすれば伸びるかを言葉にする
自分の動きを場合分けした後は、長所を伸ばし、短所を補うように考えを巡らせます。
差し合いが弱いなら、自分が突っ込みすぎていないか、逆に攻めが足りないんじゃないかと考えます。じゃあ攻め方を少し変えてみよう、という結論に至るわけです。また、前節で挙げた長所のうち、自分にないものを取り込もうとする方向に考えることもできます。また長所を伸ばすには、もっと別の行動も必要なんじゃないかなどと思ったりもします。
このように、言葉を通じて自分の動きをよりよくする方法を考えていきます。成長・改善のための方法は、また別の記事にまとめる予定です。
マクロ視点の言語化
試合全体を俯瞰して立ち回りの偏りを分析することを、「マクロ視点の言語化」と勝手に呼んでいます。前章で述べた「タイプ分け」から一歩踏み込んだ考察を行います。項目は2つです。
1 - 表裏一体の強みと弱み
自分の立ち回りにおける、勝ち筋を考えてみましょう。例えばこのような感じです。
- 差し合いで相手の予想よりさらに踏み込むことで崩して勝つ
- 相手の攻めを待って差し返して勝つ
- 息をつく暇も与えず怒涛の攻めで勝つ
これらは一方で負け筋の可能性もはらんでいることに考えを向けます。
- 判断を誤って踏み込み、相手にリターンを取られて負ける
- 相手にも待たれると攻め筋がなくなって負ける
- 雑な攻め方でずっと差し返されて負ける
強みと弱みは表裏一体である可能性を考え、自分の立ち回りの特徴を「リターン」視点で考えてみるのです。リターンの取り方を考えの主軸に置くと、「綺麗 / 汚い」などの概念から離れ、大きなリターンを手にするための最善の行動が正しく評価できることもあります。
2- 改善の動きを言葉にする
弱みを理解すれば、改善方法を考えたくなります。「なんとなくこうすりゃいいんじゃないか」と思うより、明文化することが大切です。
先程の例を使うと、
- 踏み込みすぎないよう、一旦様子を見る
- 待ちすぎず自分からも詰めてみる
- 雑に攻めずに好機を伺ってみる
といった具合です。立ち回り全体を俯瞰して、ざっくりと軌道修正をしていきましょう。常に行動に幅を持たせつつ、意識の方向を少し変えていくのです。改善法が見えない時は人に聞いたり、動画などから学んだりしてみましょう。自分の動きに新たな変化を盛り込むことが重要です。
ミクロ視点の言語化
試合全体を見るマクロ視点とは異なり、場面ごとの動きに着目します。伝えたいポイントは2つです。
1 - 行動を切り取る。理由付きで
次のような場面を想像してください。
自分が崖を掴まされ、相手は回避上がりを狩るような位置に立っている場面です。あなたは攻撃上がりを選択しましたが、相手には届かず反撃を食らってしまいました。
この場面における最善択は何だったでしょうか。おそらく、その場上がりかジャンプ上がりでしょう。なぜなら、
- 攻撃上がり→届かず反撃される
- 回避上がり→咎めやすい位置に相手が立っているので、おそらく咎められる
- その場上がり→後隙が最も少なく、また相手がその場上がりを咎める可能性が少ない
- ジャンプ上がり→相手の着地狩り展開にはなるものの、相手がジャンプ上がりに被せる技を振っていないので崖上がりを直接咎められる可能性は低く、着地を工夫すればニュートラルの展開に持ち込める可能性が高い
といった理由が考えられるためです。
このように、自分が取った行動の一つ一つ、特に自分が攻撃をくらった場面を切り取り、その原因を分析するのです。分析の際は、取れるはずだった他の行動を全て選択肢に入れ、その中から良いと思われる行動を「理由付きで」選択します。
それぞれの行動がなぜ良いのかを一つ一つ理由付けすることがミクロ視点の言語化最大のポイントです。行動選択の主な基準は「リスクが低くてリターンが高い」ことです。当てれば大リターン、外しても小リスクの行動を積み重ねることで勝利に近づけるという考え方は一つの指針にできると思います。
2 - ミクロ視点だけではいけない
全ての場面ごとの最善手を考えるだけでは、必ずしも勝ちに結びつくとも限りません。常に大局的な視点を持つことが肝要です。ミクロ視点はマクロ視点とともにあると思っています。場面ごとの技の選択が合っていても、そこに至るまでの試合運びを組み立てていなければ安定した勝利は得られないと思うからです。
言語化の第一はマクロ視点にあり、大きな試合運びを組み立てた上でこそ技の振り方が生きてくると思います。技の先端を当てる、急降下の有無を調節するなど動きの工夫も取り入れながら、多角的な視点から言語化を活かせると良いと思います。
おわりに
言語化により立ち回りを整理すると、自分の考えを他の人に伝える時や、立ち回りの研究においても大いに役立ちます。言葉を通じてゲームをより一層楽しめたらいいなと思います。
次回は、アドバイスの貰い方をテーマに記事を書く予定です。